【登辞林】(登記関連用語集)


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特別縁故者 相続人が存在しない場合に、被相続人と生計を同じくしていた者や被相続人の療養監護に努めた者等、被相続人と特別の縁故があった者で、家庭裁判所の審判により、相続財産の全部又は一部の分与を受けることができる。自然人だけでなく、法人が認められる場合がある。

特別区 特別地方公共団体のうちのひとつで、東京都の23区(地方自治法281条)。政令指定都市行政区と異なり、法人格を有する(地方自治法第1条の3、第2条第1項)。(→地方公共団体)(→行政区画

特別抗告 通常の不服申立てができない決定又は命令に対して、憲法違反、憲法解釈の誤りがあることを理由として最高裁判所にする特別の抗告民事訴訟法第336条、刑事訴訟法第433条、第405条)。刑事訴訟においては、判例違反を理由としても特別抗告をすることができる。(→一般抗告)(→再抗告

特別支配会社 会社法上、ある株式会社の総株主の議決権の10分の9(これを上回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)以上を他の会社及び当該他の会社が発行済株式の全部を有する株式会社その他これに準ずるものとして法務省令(会社法施行規則)で定める以下の法人が有している場合における当該他の会社。
1.他の会社がその持分の全部を有する法人(株式会社を除く。)
2.他の会社及び特定完全子法人(当該他の会社が発行済株式の全部を有する株式会社及び1.に掲げる法人)又は特定完全子法人がその持分の全部を有する法人
会社法第468条第1項、会社法施行規則第136条第1項)
(→略式合併)(→略式分割)(→略式株式交換

特別受益 相続人が被相続人から受けた、婚姻や養子縁組、生計の資本としての贈与や遺贈等の利益。特別受益を受けた者がある時は、特別受益を加えたものを相続財産とみなし(みなし相続財産)、これを各相続人の相続分に従い算出、特別受益を受けた者は、ここから、特別受益分を控除したものを相続する。特別受益を受けた者は、その遺贈又は贈与の額が相続分以上である時は、相続分を受けることができない。これらの規定については、被相続人が異なる意思を表示した場合、遺留分の規定に反しない範囲で効力を有する。(民法第903条)

特別清算 株式会社が解散(合併による解散や破産手続の開始による解散で当該破産手続が終了していないものを除く)等をし、清算をするにあたり(会社法475条)、清算の遂行に著しい支障を来すべき事情や債務超過の疑いがある場合に、債権者、清算人、監査役又は株主の申立てにより開始される、裁判所の監督のもと行われる清算手続(会社法第510条、第519条第1項)。
特例有限会社は、会社法上、株式会社として存続しているが、特別清算の規定は、適用されない(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第35条)。
清算株式会社の財産に対して既にされている強制執行仮差押及び仮処分の手続等は、一般の先取特権その他一般の優先権がある債権にもとづく強制執行等を除き、中止される(会社法第515条第1項)。担保権の実行の手続等は、原則中止されないが、債権者の一般の利益に適合し、かつ、担保権の実行の手続等の申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないものと認めるときは、裁判所は、清算人、監査役、債権者若しくは株主の申立てにより又は職権で、相当の期間を定めて、担保権の実行の手続等の中止を命じることができる(会社法516条)。
清算株式会社が、財産の処分、借財、訴えの提起、和解又は仲裁合意、権利の放棄、その他裁判所の指定する行為をするには、裁判所の許可又は監督委員の同意を得ることを要する(会社法第535条第1項)。

特別代理人 法定代理人がいない場合や、法定代理人が本人と利益が相反する行為(利益相反行為)等を行おうとするため、その法定代理人が代理権を行使することができないとき等に、法律の定めにより、裁判所により選任される代理人(民法第775条、第826条、民事訴訟法第35条、民事執行法第41条、刑事訴訟法第29条、会社法第707条等)。

特別地方公共団体 地方公共団体のうち、「特別区」「地方公共団体の組合」「財産区」「地方開発事業団」(地方自治法第1条の3第3項)をいう。「地方公共団体の組合」とは普通地方公共団体や特別区が行う事務の一部(消防、上下水道、ごみ処理等)を共同で行う場合に設けられるもので、「一部事務組合」「広域連合」「全部事務組合」「役場事務組合」がある(地方自治法第284条)。「財産区」とは、市町村および特別区の一部で財産を有し、または公の施設を設けているものをいう(地方自治法第294条)。「地方開発事業団」とは、複数の普通地方公共団体が一定の地域の総合的な開発計画に基づく事業を行うために設立される法人である(地方自治法第298条)。

特別取締役 取締役が6人以上で、取締役のうち1人以上が社外取締役である取締役会設置会社(委員会設置会社を除く)は、重要な財産の処分・譲受、多額の借財(会社法第362条第4項第1号、第2号)についての決議を、あらかじめ選定した3人以上の取締役の過半数が出席し、その過半数の賛成をもって行う旨を定めることができる(会社法第373条第1項)。このあらかじめ選定した3人以上の取締役のことを特別取締役といい、特別取締役による議決の定めがある場合には、その定めがある旨、特別取締役の氏名及び社外取締役について社外取締役である旨を登記しなければならない(会社法第911条第3項第21号)。旧商法の重要財産委員会に代わる制度である。

特別の先取特権 「一般の先取特権」に対する特別のもの。民法に規定されているものとして、「動産の先取特権」「不動産の先取特権」がある。一般の先取特権と特別の先取特権が競合する場合、特別の先取特権が一般の先取特権に優先するが、一般の先取特権のうち、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する(民法第329条第2項)。
商法上の留置権商事留置権)は、破産法上、破産財団に対して、特別の先取特権とみなされ、留置権者は別除権を有し、破産手続きによらずにその権利を行使することができる(破産法第65条、第66条)。

特別養子縁組 家庭裁判所の審判により実方の血族との親族関係を終了させる養子縁組(民法第817条の2)。養親となる者は配偶者のいる者で、且つ、一方が25歳以上、もう一方が20歳以上でなければならない(民法第817条の4)。特別養子縁組の請求は養親となろうとする者が行い、原則として、養子となる者の父母の同意が必要である。養子となる者は原則として6歳未満であり、家庭裁判所の審判がなされる際には、養親は養子としようとする者を6ヶ月以上監護し、その状況を考慮した上で審判がなされる。実方の血族との親族関係は終了するので、養子は、実方の相続人となることは出来ない。特別養子縁組の離縁は、養子の利益のため必要であると認められる場合に限り、家庭裁判所の審判によりすることができる。

匿名組合 当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって効力を生ずる契約(商法第535条)。営業をする者を「営業者」出資をする者を「匿名組合員」という。民法の組合と異なり、出資は金銭その他の財産に限られ(商法第536条第2項)、労務を出資の目的とすることはできない。匿名組合員の出資は、営業者の財産に属する(商法536条1項)。匿名組合員は営業者の業務を執行し、又は、営業者を代表することができず(商法第536条第3項)、営業者の行為について、第三者に対し、権利及び義務を有しない(商法第536条第4項)。匿名組合員は出資の限度で有限責任を負い、営業者は無現責任を負うことから、合資会社に類似する機能を果たす。

独立行政法人 各府省の行政活動から政策の実施部門のうち一定の事務・事業を分離し、これを担当する機関に独立の法人格を与えるため、独立行政法人通則法(平成11年7月16日法律第103号)、及び、個別の法律により設立された法人。独立行政法人のうち、役員や職員に国家公務員の身分が与えられるものを「特定独立行政法人」という。国民生活センター福祉医療機構雇用・能力開発機構農林漁業信用基金中小企業基盤整備機構都市再生機構住宅金融支援機構等。(→特殊法人

特例財団法人 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成18年6月2日法律第50号)(以下、「整備法」)の規定による、改正前の民法第34条の規定により設立され、この法律の施行の際現に存する財団法人で、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成18年6月2日法律第48号)の規定による一般財団法人として存続するとされたもの(整備法第40条第1項)。特例財団法人は、その名称中に、一般財団法人又は公益財団法人若しくは公益社団法人という文字を用いてはならない(整備法第42条第4項)。

特例社団法人 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成18年6月2日法律第50号)(以下、「整備法」)の規定による、改正前の民法第34条の規定により設立され、この法律の施行の際現に存する社団法人で、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成18年6月2日法律第48号)の規定による一般社団法人として存続するとされたもの(整備法第40条第1項)。特例社団法人は、その名称中に、一般社団法人又は公益社団法人若しくは公益財団法人という文字を用いてはならない(整備法第42条第3項)。

特例民法法人 「特例社団法人」及び「特例財団法人」の総称(「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成18年6月2日法律第50号)第42条2項参照)。

特例有限会社 会社法の施行により廃止された有限会社法(昭和13年4月5日法律第74号)の規定による有限会社であって、会社法施行の際に現に存し、株式会社として存続するとされたもの。その商号中には「有限会社」の文字を用いなければならない。「社員」は「株主」、「持分」は「株式」とみなされ、原則として、会社法の株式会社に関する規定の適用を受けるが、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律により特則が設けられており、会社法を全面的に適用した場合に生ずる不都合等は調整されている。
特例有限会社は、定款を変更して、「○○有限会社」から「株式会社○○」へと商号を変更することができ、この商号変更後は、株式会社の規定が全面的に適用される。また、「○○有限会社」から「××有限会社」へと商号を変更することも可能である。
特例有限会社は、休眠会社の規定(会社法第472条)、特別清算に関する規定(会社法第2編第9章第2節)、株式交換及び株式移転に関する規定(会社法第5編第4章並びに第5章)等は適用されない(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第32条、第35条、第38条)。特例有限会社は、吸収合併存続会社(会社法第749条第1項)又は吸収分割承継会社(会社法第757条)となることができない(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第37条)。

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